新設法人の青色申告承認申請と欠損金繰越(H25.11掲載)

ここでは、新たに法人を設立した場合の青色申告承認申請と、青色欠損金の繰越について説明いたします。

青色申告承認申請とは?

法人を新たに設立した際に書類を提出すべき機関は、税務署や都道府県税事務所、市町村の役所、年金事務所、労働基準監督署、ハローワーク等、実に多岐にわたります。

ここで取り上げる青色申告承認申請書とは、上記のうち税務署に提出する書類です。

この青色申告承認申請書は、法人設立届出書等と異なり提出が義務付けられてはいませんが、提出しなかった場合や、提出しても申請期限を過ぎてしまっていた場合には、税務上多くのメリットが享受できなくなってしまうため、ここで特に取り上げたいと思います。

新設法人の青色申告承認申請書提出期限

法人を新たに設立した場合に、設立1期目から青色申告書を提出するための青色申告承認申請書の提出期限は、設立の日以後3か月を経過した日の前日まで(ただし、それよりも前に設立第1期の末日を迎える場合には、第1期終了の日の前日まで)となっています。

この期限までに提出を行わなかった場合、初年度から青色申告を行うことはできなくなってしまいます。

初年度から青色申告ができないと・・・

青色申告承認申請を行わなかった場合や、行っても上記期限を過ぎてしまっていた場合、少なくとも法人起業初年度から青色申告書を提出することはできません。

この場合、各種の税務メリットを受けられなくなることは上述した通りですが、その中でも新設法人に最も影響が大きいのは

青色欠損金の繰越控除が受けられなくなる

ということではないでしょうか。

青色欠損金の繰越とは、法人税の申告において、その事業年度開始の日前9年以内に開始した各事業年度(青色申告書を提出した事業年度に限ります)に生じた欠損金(青色欠損金)を、その事業年度の所得から控除するものです。

下記の新設法人の例で説明いたします。

(説明をわかりやすくするため、会計上の利益/損失は税務上の所得/欠損と同額という前提にします。また、法人税法上の中小法人等に該当するものとします)

例えば、

設立第1期 損失 500万円

設立第2期 利益 300万円

という経過をたどるとき、設立第1期が青色申告であれば、第2期の利益300万円に前期の損失500万円のうち300万円をぶつけてゼロにし、結果第2期の申告において法人税をゼロとすることができます。

これが青色欠損金の繰越控除です。

しかし、上の例で設立第1期が青色申告でなかった場合、原則として第2期の利益300万円を前期損失と相殺することはできず、300万円に対して直接法人税が課税される結果となってしまいます。

2期トータルでみればマイナス200万円なのに、単年度でプラスになった途端に納税が発生するのでは、資金繰りもままなりません。

特に設立初年度においては売上があまり上がらなかったり、経費もかさんだりしてマイナスが大きくなる傾向にあります。

この点からも、第1期から青色申告書を提出することの重要性がお分かりいただけるかと思います。

繰延資産計上による費用繰延

それでは、申請期限を過ぎてしまった場合など、法人設立初年度から青色申告書を提出できない場合にはどうしたらよいでしょうか?

万能ではありませんが、初年度支出額のうち一定のものは、創立費や開業費という繰延資産に計上しておくことによって、初年度の費用とせず、翌年度以降任意の時期に費用計上することが可能となります。

創立費や開業費の計上は、青色申告でなくても行うことができます。

なお、創立費とは、「発起人に支払う報酬、設立登記のために支出する登録免許税その他法人の設立のために支出する費用で、当該法人の負担に帰すべきもの」です。

また開業費とは、「法人の設立後事業を開始するまでの間に開業準備のために特別に支出する費用」と定義されています。

実際にはどこまでの経費が開業費となるか、がポイントとなることが多いかと思いますが、「特別に」支出する費用とされていることから、経常的な費用は繰延資産計上できず、支出時の費用とせざるを得ません。

開業費か経常的な経費かの判定は、個別具体的に判断していくこととなりますので、詳しくはお問い合わせください。

これら繰延資産の計上は、上述の通り青色申告でなくても可能ですが、青色申告書を提出する場合においても当然に検討すべきことです。

なお、当事務所では設立から日の浅い法人様向けに開業支援プランをご用意していますので、ご興味をお持ちの方は下記ページをご覧ください。

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