医師の行う青色申告特別控除(H26.4掲載)

ここでは、クリニック・医院を個人で開設している先生が、青色申告特別控除を行う場合のポイントや注意点についてまとめています。

青色申告特別控除とは

青色申告を行っている個人開業医の先生は、事業所得の金額から10万円または65万円を青色申告特別控除額として控除することができます。

(他に不動産所得がある場合は、不動産所得から先に控除します)

それぞれの控除を受けるための主な要件は、次のとおりです。


10万円控除

・青色申告の承認を受けていること

・簡易方式または現金主義により取引の記録を行っていること

具体的には、損益の計算ができるようにレセコン関係の資料、取引関係書類や領収書等を整理・保管し、それらを集計することが必要です。


65万円控除

・青色申告の承認を受けていること

・不動産所得または事業所得を生ずべき事業を営んでいること

・正規の簿記の原則にしたがった帳簿書類にもとづいて作成した貸借対照表、損益計算書その他の明細を、確定申告書に添付すること

・提出期限までに確定申告書を提出すること

具体的には、複式簿記の方法により記帳を行い、その集計結果として貸借対照表・損益計算書を作成することが必要です。

多くの場合会計ソフトを用いて、事業用の通帳や現金出納帳をベースに記帳を行います。

また3月15日までの期限内申告も要件ですので、早めに準備をしたうえで申告することが重要になります。

青色申告を行うためには

10万控除にしても65万控除にしても、青色申告の承認を受けていないと適用できません。

その年分以後の所得税について青色申告書の提出の承認を受けようとする人は、原則として、

その年3月15日まで(その年1月16日以後新たに業務を開始した場合には、その業務を開始した日から2ヶ月以内

に、青色申告承認申請書を納税地の所轄税務署長に提出しなければなりません。


実務上は、その他の書類(個人事業の開業届出書、納税地の変更届出書、源泉所得税の納期の特例の承認申請書など)とともに、税務署に提出します。


ここで注意すべきなのは、「1月16日以後新たに業務を開始した場合」の意味合いです。

「業務を開始した」というのは、初めて青色申告ができるような所得が発生したことを意味します。

したがって、例えばクリニック開業の前年以前から不動産を賃貸していた場合には、開院が1月16日以後でも、青色申告承認申請書の提出期限はその年3月15日までとなってしまいます。

このケースでは、以前から青色申告ができるような所得(=不動産所得)があり、「1月16日以後新たに業務を開始した場合」に該当しないためです。

10万控除と65万控除の違いをシミュレーション

それでは、青色申告特別控除が10万円の場合と65万円の場合とで、税額にどれだけの差が出るのかをシミュレーションしてみましょう。

所得税は超過累進税率といって、高い所得ほど高い税率で課税する仕組みを採用しているため、所得の水準によって特別控除による節税額が異なります。

・10万控除と65万控除 それぞれの場合に軽減される税額の比較(平成26年現在 単位:円

課税総所得
金額(※)
10万円控除により
軽減される税額
65万円控除により
軽減される税額
10万と65万の
差額
所得税 住民税 合計(A) 所得税 住民税 合計(B) (B-A)
5,000,000 20,000 10,000 30,000 130,000 65,000 195,000 165,000
8,000,000 23,000 10,000 33,000 149,500 65,000 214,500 181,500
12,000,000 33,000 10,000 43,000 214,500 65,000 279,500 236,500
20,000,000 40,000 10,000 50,000 260,000 65,000 325,000 275,000

※青色申告特別控除前の金額で、単純化するため所得税・住民税とも同額とします。


上記のとおり、所得が高いほど65万控除による節税額は上がっていき、最も節税額が多い所得帯になると、10万控除の場合と比べて275,000円もの差が出ます(復興特別所得税は考慮していません)。

さらに、所得を圧縮することにより国民健康保険料等も下がる可能性があります。


ただし前に記載したとおり、65万円の控除を受けるためには、複式簿記による記帳・期限内の申告等、さまざまな条件をクリアする必要がありますので、

・先生ご自身、あるいはご家族等従業員が勉強したうえで、記帳・申告を行う

・税理士等の専門家に依頼する

のどちらかが現実的な選択肢となるでしょう。

概算経費との併用時や、他の所得がある場合の注意点

医業の所得計算に認められた特殊な所得計算方法として、社会保険診療報酬に関する経費を一定の経費率により計算する、概算経費という方法があります。

→概算経費について、詳しくはこちら

この概算経費により所得計算を行う場合には、社会保険診療報酬以外の所得からしか青色申告特別控除はできませんので、注意が必要です。


また、クリニックの事業所得のほかに不動産所得もある場合に65万円の青色申告特別控除を行うときは、不動産所得についても複式簿記による記帳等の要件を満たす必要があります。


なお、当事務所では開業医の先生を支援する体制を整えております。

また、開院から日の浅い先生向けに、月額税抜10,000円からのクリニック開業支援プランをご用意しております。

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